糸的にいとをかし

内向型大学生の糸が執筆するブログです。「いとをかし」つまり僕が個人的に面白いとか興味深いと思ったことを気ままに投稿します。

【サッカー】サッカーを戦術的に楽しく観るために① 〜ポジションの確認〜

 ども。EURO2020のせいで寝不足の糸です。

 

 子どもの頃からわりとサッカーの試合を観てきた僕ですが、戦術を意識して観始めたのはここ3〜4年のことです。

 それまで、戦術は難しく理解しにくいものという先入観がありました。しかしながら、多くの本や戦術クラスタの方々のSNS、ブログなどを目にするにつれ、「自分もこういう視点で試合を観れるようになったら、新しい楽しみ方ができる。できるようになりたい!」と思い、戦術的に観るように意識しはじめました。

 それが講じて体育・スポーツ系の大学院まで進んでしまったわけですが、まだまだわからないことがたくさんあり勉強中です。

 

 そこで、僕が戦術的に試合を観るために踏んでいったステップを少しずつですが当ブログに記していこうと思います。あくまで、ライトに試合をダラダラ観ながら楽しめるくらいのノリのものになりますので過度に期待されても困ります笑。

 

 というわけで、ステップ1「ポジションの確認」です。

 

 スタメン

 「スタメンの確認なんて当たり前でしょ?」と言われるかもしれませんが、その試合の分析の基礎になりますから大事なことです。

 プロの試合であればだいたいキックオフの1時間前には発表があります。速報サイトやSNSなどをチェックしておきましょう。

 アマの試合(社会人や少年サッカーなど)となると確認が難しいかと思いますので、次項からスタートすると良いかと思います。

フォーメーション

 キックオフの笛がなったら、フォーメーションを確認します。スタメンの確認と共に予想をしておくと楽かもしれません。まあ、予想が外れるときは外れるのですが…。

 4-4-2、4-2-3-1、3-5-2、etc...

 個人的には確定する必要はないと思っています。なぜなら、次項でも説明しますが試合の流れで変わったり、実際のポジショニングとは異なる場合がでてくるからです。

 だいたいで構いません。ベースを理解しておくことが目的だと思って下さい。

変化に気づく

 前述しましたが、試合中にフォーメーションは変化します。

 交代、退場、勝っている、負けているなど。そもそも、攻撃と守備で異なることも多々あります。要因は様々ですが必ず変化します。そこに気づけるかどうか。

 何も難しいことではありません。試合開始後にフォーメーションを確認していますから、それと比較すれば違いが見えてくるでしょう。

  昨シーズンの南野選手のサウサンプトンでのデビュー戦は分かりやすかったです。

 4-4-2がベースのサウサンプトンは攻撃時にはSHの選手が内に入ってきてFWの選手の近くでプレーし、SBがタッチライン際で攻撃参加するという形でした。SHで出場した南野選手はその攻撃の形にピッタリとマッチしてゴールを奪いました。

itoteki.hatenadiary.com

 まとめ

スタメンチェック → フォーメーション → 変化を察知

 

このよう感じで肩肘張らずに試合を楽しむついでにできるような観方の紹介ができればと思います。

【サッカー】師弟対決 アーセナル対マンチェスターC【プレミアリーグ20-21】

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 アーセナルの監督、ミケル・アルテタは2016年から2019年までマンチェスターCにコーチとして在籍し、2019年に自身がかつて選手として在籍していたアーセナルの監督に就任した。

 シティでの3年間、ペップ・グアルディオラの元で指導や戦術などについて多くを学んだ。そんな師弟関係にある2人がそれぞれビッグクラブを率いての対決となった。

 基本 

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 アーセナルのフォーメーションは4-2-3-1。CFのファーストチョイスはオーバメヤンで、右にぺぺ、左にサカ、トップ下にシーズン途中に加入したウーデゴールが入った。中盤はジャカとエルネニーのダブルボランチ。DFラインは大きく入れ替わって、右からベジェリン、ホールディング、マリ、ティアニーという並びとなった。

 対するシティは4-3-3。前線はスターリング右、マフレズ左、シウバ中央。中盤は先発復帰のデブライネ、得点量産中のギュンドアン、キャプテンのフェルナンジーニョ。DFラインはリヴァプール戦と同じセットだった。

シティの攻撃、アーセナルの守備

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 試合の主導権を先に握ったのはシティ。0トップを採用している中央はポジションを頻繁に入れ替えて相手のマークを絞らせない。サイドは割と張っていて、空いたハーフスペースに中盤の選手が飛び込んでくる構図。その分フェルナンジーニョがバランスを取り、カンセロやディアスがボールを供給していた。

 アーセナルの守備はマンマーク気味。エルネニーがギュンドアンorデブライネ、ジャカがシウバorデブライネをマーク。ウーデゴールはフェルナンジーニョを警戒しつつ、余った中盤の選手。サカはカンセロとSBのサポートとなっていた。そしてこの試合で一番大変であったろう選手はペペ。ジンチェンコを気にしつつルーベンの牽制というアップダウンの激しいタスクだった。

 先制点は早い段階で入った。アーセナルの守備が対応しきる前だった。だが、その後は安定し、マークの受け渡しはスムーズだったし、ある程度押し込まれてもきちんと必要な人数は揃っていた。その分、後ろに重たくなってカウンターになかなか出ていけなくなってしまっていたが…。

アーセナルの攻撃、シティの守備

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 アーセナルの攻撃の中心は左サイド、特にサカが目立った。最初はなかなかパスを引き出せていなかったが、ハーフスペースの少し落ち目に降りてくることでジャカからのパスを引き出し前を向けていた。そうなるとティアニーが高い位置を取ることができる。マフレズがついてくるべきだろうが戻りが遅いことが多く、シティCBはオーバメヤンの裏抜けを警戒していて出れないので、カンセロと2対1の状況になってそこからクロスという場面が何度か見られた。逆サイドも同じようにウーデゴールがハーフスペース、ペペが大外という形にしたが、スターリングは割と戻りが早いので厳しかったようだ。

 

まとめ

 前半2分の得点が決勝点となり1-0で終了。シティは公式戦18連勝となった。

 だが、内容的にはアーセナルも悪くはなく、シティの攻撃を停滞させていたと思う。代わりに攻撃に火力を失っていたので反撃とはならなかったが、シティ以外の相手と対峙したときには割とやれるのではと感じた。前線に速い選手はいるのだし、後ろに重たくなりすぎなければカウンターが刺さりそうではある。

 そうはさせずに押し込み続けたシティはさすがと言えよう。

【サッカー】前後半で対象的な試合 サウサンプトン対ウルブス【プレミアリーグ20-21】

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 苦しむサウサンプトン。リーグ戦5連敗中だが、直前のカップ戦は2-0でウルブスに勝利した。同じ相手と短いスパンでの連戦となったがいい流れをそのままリーグ戦にも持ち込めると良いのだが。

 対するウルブスはここ最近先制点を奪われている。なんとか自分たちが先手を取りたい。ヌーノ監督のプレミアリーグ通算100試合目を勝利で飾れるか。

フォーメーション

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 サウサンプトンのベースは4-4-2。攻撃時は南野やアームストロングらSHがインサイドに入り、SBが幅をとって2-4-3-1のような形でボールを保持しながらチャンスを伺っていた。守備時は4-4-2でボールサイドに密集して相手に時間を与えないで奪う。

 ウルブスは3-4-3がベース。攻撃ではWBが高い位置かつ幅をとる。そして、WGの個の力を利用しながら前進。守備は5-4-1の形になり、人数をかけて守っていた。

前半

 前半は圧倒的にサウサンプトンのペース。その一因としては、ウルブスが失点を恐れてかなり慎重になり、セーフティなプレスを意識していたことが上げられる。よってボールを余裕をもって保持できる展開となった。イングスの先制点の場面もクロスをあげたアームストロングへの対応が甘くなっていた。

 また、中央に人数をかける布陣なので中盤を支配できていた。ウルブスの2人のCHに対して常に3人以上が周りにいるような状況を作り出せていたと思う。

 ウルブスの攻撃はうまく行かないことがほとんどだった。DFからのボールの供給が遅くなり、ボールが出てくる頃にはマークが付いていて良い状態でプレーできずに奪われる。WGの個の力が発揮される前に潰される。サウサンプトンDFの完成された密集地帯にボールを入れればそうなることは間違いない。

 ウルブスの消極的姿勢が前半の戦いに大きく影響してしまったようだ。

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後半

 後半は打って変わってウルブスペース。きっかけはWGのサイドを入れ替えたこと。前半、右WGだったトラオレを左へ。左WGだったネトを右へ移した。そうすると、両選手の利き足が内側になるので、サウサンプトンのDFはカットインを意識しなくてはならない。そうなると大外のWBへの対応が遅れてしまう。WBへ意識が向けばWGの個が活きるようになるという狙いだ。この配置が功を奏し、トラオレのカットインからのスルーパスからセメドがPK獲得。さらにネトの個人技で逆転とヌーノ監督の采配ピタリだった。

 さらにボールを素早くまわすことを意識したのだろう。DFから少ないタッチ数でパスがWBやWGに出されていた。このペースでサイドチェンジをされるとサウサンプトンはついていけない。かなりボールサイドに密集するから。

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 また守備での対応もウルブスは変えた。前半5-4-1だったのを5-3-2に変更。サウサンプトンのCBと同数のFWにプレスに行かせることで時間を与えない。SBに対してはWBがついてバチバチにやり合う。こうすることで、セインツは後半ボールをなかなか保持できなくなった。

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 サウサンプトンは交代などで途中から3バックのような形にした。(3-4-2-1?)それからはボールが回るようになったが、ちょっと遅かった。

まとめ

 スコアは2-1でウルブスの勝利。サウサンプトンはこれで6連敗。ウルブスはヌーノ監督の記念試合で勝ち、3戦負けなしとした。

 サウサンプトンは勝てないチームの典型的な逆転負けのような試合運びになってしまった。前半良くて、後半苦しく、改善遅い。前半のような戦いが常にできればよいがそうそううまくはいかない。なら、苦しい時間帯は耐えなくてはならないが、いまのセインツにはその力がない。この連敗地獄を抜け出すのはいつになるのだろうか。

おまけ

 南野に関しては、後半で途中交代となったが悪くはない内容だったと思う。普通に味方からボールは出てくるし、それをフリックしてチャンスを何度か作っていた。

 まだパスのズレなどはあるが、チームによりフィットしつつあると思う。

 兎にも角にも、得点orアシストを期待する。

【サッカー】サウサンプトンでの南野デビュー戦!結果と課題が現れた【プレミアリーグ20-21】

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 リヴァプールで出場機会に恵まれず、サウサンプトンに移籍を決意した南野拓実。新天地でいきなりのスタメン起用となった。

 前節のセインツはユナイテッドに0-9という歴史的スコアで敗れ、精神的に大ダメージを負った。そこからの立て直しも期待されていた部分だと思う。

 そんな試合で南野はゴールという形で結果を残し、期待に答えたと言っても良い。

 だがチームは凡ミスで失点。さらに相手の負傷を含む2人の退場があり数的優位にたったにも関わらず敗れるという、下手したら0-9負けよりも痛い敗戦になったのではないかとも思う。

 その中でも比較的明るい材料となった南野だが課題も見えてきた。そのあたりを振り返りたい。

 サウサンプトンの戦術

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 サウサンプトンは4-4-2がベース。

 「オーストリアのクロップ」とも呼ばれるハーゼンヒュットル監督は元ライプツィヒの監督らしく、前線から積極的に奪いに行くスタイルを求めている。そこからのショートカウンターは武器である。

 攻撃はCF+SHの4人が絡むのが基本でそこへのパスの供給はCHと高い位置を取る左SBが担当していた。だが見た限りではビルドアップはあまりうまくない印象で、3失点目はビルドアップのミスをかっさらわれたもの。やはり、ショートカウンターのほうが性に合うのだろう。

南野の役割

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  リヴァプールでもそうだったが、南野はハーフスペースでプレーする機会が多い。監督が求めるのは「ナンバー10」としての役割で、CFと近い位置でプレーをして攻撃にアクセントを加える。またカウンター時はフリーな位置で受け、前へ運ぶ糸口となる。

  南野がハーフスペースでプレーすることでSBが高い位置を取れる。その効果が現れたのがセインツでの初ゴールだ。SBからの斜めのパスを受けてペナルティエリア内に侵入しシュート。見事に相手GKの肩口を撃ち抜いていた。

 カウンターの際もうまく立ち回れていた。相手1人を退場に追い込んだのは南野が前を向いて運ぼうとしたから。退場後はカウンターの機会がほとんどなくなってしまったが、これから上位チームとやり合う上ではこのようなプレーは重要になってくるだろう。

課題

 試合の展開の影響もあるとは思うが、相手がドン引き守備になってからは彼の良さが消えてしまった。パスの供給役になってしまったからだ。単純な放り込みクロスに対して南野の背ではあまり貢献できない。仕方のないことだが、もっと相手にとって嫌なプレーをみせてほしかった。例えば、ペナルティエリア付近でファウルをもらう、サイドの選手とのコンビネーションで制度の高いクロスを上げる(上げさせる)等。

 また、加入したばかりで当然なのだが、前線の選手たちとのコンビネーションはまだまだ改善が必要だ。うまく流動的に入れ替われていた場面もあったが、その逆もまた同じくらい見られた。CFのイングスもアダムスもいい選手であることは間違いない。彼らとの関係がより洗練されていけば、より活躍が見込めると予想する。

まとめ

 先程も述べたが、南野は加入したばかりなのでうまくいかないこともまだまだある。しかしながらこの試合、あまり良くないチームの中の光明であったことは間違いない。来シーズン以降、リヴァプールに戻り、活躍するためにもサウサンプトンで結果が求められる。個人的な希望も含むがコンスタントに試合に出続け、10得点以上に関与できたらなと思う。

【サッカー】新監督と古巣対決のロンドンダービー【プレミアリーグ20-21】

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 前節、トゥヘル体制になってから初勝利を挙げたチェルシー

 まだトゥヘル監督としては、ベストメンバーを探っている状況だと思うが、チームの調子が上向いているのは確かだ。短期間でチームとして完成させていくあたりは流石と言える。

 一方のスパーズは連敗中。ホームでの連敗は阻止したい。

 しかしながらエースのケインが負傷し、ソンとの強力なコンビは見れなくなってしまった。その代役を務めるのは大型ストライカーのヴィニシウス。プレミア初スタメンかつロンドンダービーの大一番で活躍できるか。モウリーニョ監督にとっては「古巣対決」となった。

 フォーメーション

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 チェルシーの基本フォーメーションは3-4-1-2。これまでと異なるのが、シャドーの役割が2人からマウントの1人になり、2トップになったこと。3-4-1-2とは述べたが、若干の左右非対称な感じは見られた。スタメンの大きな変更はなく、CFにシフトしたオドイと右サイドに入ったジェイムスぐらいか。

 スパーズの基本フォーメーションは4-2-3-1と予想していたが、4-2-2-2に近い形になっていた。後半からは4-2-3-1に変わったが、前半はトリッキーというか割り切っているのがよくわかった。特に守備中の2列目がトリッキーで、ソンとヴィニシウスの2トップの後ろにベルフワインとエンドンベレが中央寄りで構えていた。

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チェルシーの戦術

 前述したが、前線のフォーメーションが変わり2CF+1OMFを採用している。

 CFはハーフスペースの利用を意識していたように思える。実際、PKを獲得したシーンもヴェルナーのハーフスペースへの裏抜けしたところだった。CFはサイドのスペースに流れることもしばしばあり、そのときにはマウントやWBがハーフスペースを利用していた。

 右サイドの攻撃はかなり積極的に仕掛ける場面が多かった。ジェイムスやオドイが縦へドリブルないしスルーパスで突破し、クロスを上げる。1人でもやりきる力は両選手ともある。さらに、アスピリクエタもパスの供給役として関われるので人数をかけられる。やはり右サイドは攻撃のオプションとして十分成立するような形になっている。

 逆サイドはアロンソが仕掛けるタイプではないので、パスとスペースへのランニングで崩すことがベース。また、アロンソはハーフスペースを利用するのがうまいためよりゴールの近くでも関わることができていた。

 中央はマウント1人のため広大なスペースができた。自由に動き回れるマウントはこの試合、無双していたといっても良い。マークを剥がして前を向き、サイドへ展開するというシーンが何度も現れた。

 そもそも、スパーズの守備はSHに中央に絞らせているので、サイドの守備はCB+SB+DMFで守らなくてはならない。従って、DMFはなかなか前へ出ていくことができず、チェルシーのCFやマウントがビルドアップの助けに降りてくるとフリーになりやすくなっていた。

 守備に関しては安定感が光った。何本かここを通されるとピンチになるという場面をことごとくシャットアウトできていた。特にCBの3人はスパーズの2トップに何もさせなかったといえる。前線からの守備はCFが相手CBに対して片方のDMFを切りつつプレス。それに連動してマウントがもうひとりのDMFを捕まえ、残りはほぼマンマークといった具合にスパーズの選手に時間を与えていなかった。

まとめ

 1-0というスコアでチェルシーに軍配があがった。伝統のロンドンダービーは内容的にもシェルシーがスパーズを圧倒して幕を閉じた。

 トゥヘル新監督になってから負け無しのチェルシー。これから上位に食い込んで行くためにも、ビッグ6との試合で勝てたのは大きいだろう。これからチームとしての成熟度が増していくのを楽しみにしたいと思う。